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詩人・吉野弘さん
2014年02月06日
詩人の「吉野弘」さんがお亡くなりになった。
ここ最近はとくに、「生命は」を読んで深い安堵感を得たりして、
以前よりも身近なたいせつな言葉たちになっていたので、とても残念に思います。
でも、たくさんのすばらしい詩を残してくださったことに今はお礼を言いたい。
これからも、きっと、ずっと、たいせつな詩たちをもっていることがうれしい。
「生命は」 吉野弘
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも
許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?
花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
私も
あるとき
誰かのための虻だったろう
あなたも
あるとき
私のための風だったかもしれない

吉野弘さま、 ありがとうございました。合掌。
ここ最近はとくに、「生命は」を読んで深い安堵感を得たりして、
以前よりも身近なたいせつな言葉たちになっていたので、とても残念に思います。
でも、たくさんのすばらしい詩を残してくださったことに今はお礼を言いたい。
これからも、きっと、ずっと、たいせつな詩たちをもっていることがうれしい。
「生命は」 吉野弘
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも
許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?
花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
私も
あるとき
誰かのための虻だったろう
あなたも
あるとき
私のための風だったかもしれない

吉野弘さま、 ありがとうございました。合掌。